今この瞬間も起きている、働く一人ひとりと組織の不幸を世界から無くす。

2021年3月。インヴィニオクロスは、畑を代表として、新たなスタートを切りました。今回の対談では、2回にわたり、インヴィニオクロス代表の畑と、共創パートナーのお一人のKAKEAI本田社長に登場いただき、お二人が事業を通じて何を実現したいのか?思いの丈を語っていただきました。後編の今回は、KAKEAI代表の本田社長のストーリーを御紹介します。

運動に明け暮れた幼少時代

畑:もともと本田社長は、どんな子供だったんですか。

本田:熊本県の田舎で生まれました。先ほど畑さんは運動が苦手で、という話がありましたが、僕は真逆で(笑)、小学校の時からハンドボールで全国3位になったり、中学時代は野球部のキャプテンをやったり、陸上の県大会で1位になったり、結果、高校も陸上の推薦で決まったりと、とにかく運動が大好きで、運動ばかりしていました。

それまでの生活が一変。どん底の高校時代。

畑:すごいですね。小さい頃、運動ができる人に憧れていたので、非常にうらやましいです(笑)学生時代の記憶で、何か印象に残っている出来事などはありますか?

本田:高校の時に、父が経営していたコンビニが、経営に行き詰ったのがきっかけで、生活が一変しました。それまでは、父が家業として継いだ酒屋も、兼業でやっていた農家もどちらも順調だったので、幼少期は特に苦労した記憶なく育ちました。それが、段々と競合が増えていく中で、徐々に資金繰りも厳しくなり、仕入れもできずに徐々に商品棚から商品が消えていくという・・・。その時の光景は今も鮮明に覚えていますね。さらには、陸上に打ち込み過ぎて、疲労骨折をしていまい、戦力外になるという辛い出来事も重なりました。家に帰れば自暴自棄になった父が、酒ばかり飲んでいる…。自分にとっては心の拠り所でもあった陸上も大会に出られないという中で、人生のどん底だったかもしれません。

どん底から救ってくれた先生の存在。充実した大学時代。

畑:なかなか壮絶な経験ですね。その後、本田社長はどうその苦境をのりこえていかれるんですか。

本田:実は、そのどん底の頃に、それでも私を見捨てずに支えてくれたのが、学校の先生方の存在でした。落ち込んでいる私に親身に寄り添い、さまざまな示唆を与えてくださいました。おかげで少しずつですが心を持ち直し、気づけば自分も「教師になりたい」と思うようになっていました。

とはいえ、受験勉強を始めた頃の学力は、本当に酷いもので、予備校でも散々バカにされるレベルでしたが、1年間の浪人期間、寝食を忘れて勉強に打ち込み、第一志望の筑波大学に無事合格しました。

大学でも陸上部に入りましたが、筑波の陸上部といえば、歴史のある名門です。一方の私は、浪人生活の1年間、まったく運動をしていない状態。走ったら誰よりも遅いし、何をやっても歯が立ちません。大学2年生頃までは、全然結果が出ませんでした。でも、最終的には劇的にタイムが向上し、国体やインカレに出場するまでになりました。私自身は、第一走で肉離れを起こすというアクシデントに見舞われましたが、筑波大学は学校総合で史上初のアベック優勝を果たし、大学4年間は思い残すことのない充実した4年間を過ごしました。

 「人の人生に関わる仕事がしたい」という想いを叶えるためリクルートへ。

畑:その後、最初のキャリアとしてリクルートへ行かれるわけですが、なぜリクルートを選ばれたんですか?

本田:高校時代、本当に辛い時期を学校の先生方に支えてもらった経験から、ずっと教師になりたいと思っていたんですね。ですが、就職の時期を迎える中で、改めて「なぜ、教師になりたいんだろう?」というのを深く深く考えてみたんですね。その結果、「一人ひとりの人生に深く関わる仕事」という点に魅力を感じていることに気づいたんですね。だとすると、教師以外にもそういう仕事はあるんじゃないかということを思いながら就職活動をしている中で、リクルートという会社に出会いました。そして、「就職」「結婚」「マイホーム」など、どの事業をとっても、人の人生におけるターニングポイントに関わる仕事ということで、直感的に「ここだ」と思いました。

「あなたには、誰もついていきたくないって知ってます?」

畑:なるほど。「人の人生に深く関われる仕事」という軸で動く中で、リクルートに出会われたんですね。リクルートを経て、その後、数社のスタートアップ企業にも携われた後に、KAKEAI社を起業されるわけですが、そこにはどんな経緯があったんでしょうか?

本田:KAKEAIの起業に至る部分でいうと、リクルートの時の失敗体験があります。当時、私はリクルートで、営業や商品企画、新規事業開発などの仕事を経験した後に、電通とのJVにおける経営企画室長として50名の組織を率いる役割を担うなど、夢中で仕事をしているうちに、気付けば影響力もやりがいも大きい部門の管理職に就いていたんですね。

そんなある時、社内で360度評価が実施されることになったんですね。当時私は人事部門の管理職としてグループ全体のミドルマネジメント層のマネジメント力向上に関する重要な施策を担っていました。それもあって自分自身のメンバーへのマネジメントについては、正直自信があり、360度評価についても、きっと「早く実施したい。」「楽しみ。」と思っていました。しかし、返ってきた360度評価の結果を意気揚々と開いた私の目に飛び込んできたのは、無記名で書かれたこんなコメントでした。

「あなたには、誰もついていきたくないって知ってます?」

その瞬間、眩暈がし、何の音も聞こえなくなり、体が固まりました。なぜなら、間違いなく今私の目の前に座っているメンバーの誰かが、私に対して書いたコメントだったからです。

それから、何か大きな勘違いをしていた自分に対する恥ずかしさ、情けなさ、孤独、恐怖に似た気持ちに押し潰されそうな日々が始まりました。メンバーへの関わり方が全くわからない。なんとかせねば。自分の上司からもこの様子を見られている。影で自分のことについて色々と言っている人がいるのではないか。そんな混乱の中でメンバーに仕事をアサインすることもできなくなり、仕事を背負い遅い時間まで働く日々を続けていると、時折り激しい頭痛に襲われるようになり、恐る恐る病院にいくと重度の鬱と診断されました。

起業。上司と部下の掛け違いをなくし、マネジメントの失敗を世界からなくしたい。

畑:この経験は、なかなか壮絶な経験ですね。

本田:そうですね。休職した当初は、「あぁ、本田も終わったね」と半笑いで言っていることを勝手に想像し耐えがたい気持ちで一杯でしたね。でも、休職期間が長引き、少しづつ自分と向き合えるようになっていくにつれ、何よりもメンバーに対しての申し訳なさに飲み込まれそうになっていきました。

自分ももちろんメンバー1人1人のことを考えてはいたし、悪気は無かった。でも、結果として、私は、巡り合わせで偶然私のメンバーとなったその一人ひとりの人生を自分の手で毀損させてしまった。

ミドルマネジメントの担う責任は非常に大きいということは誰もが認める事実です。でも、多くの組織で、人への関わり方は属人的なまま放置され、個人力に依存し続けているように感じてます。それにより、今この瞬間も、上司と部下はかけ違い、働く一人ひとりと組織にとっての不幸が世界で繰り返され続けている。

だから、私は、KAKEAIという会社を通じて、テクノロジーを用いてマネジャーとメンバーの間に入り、今この瞬間も起きている『掛け違い』を無くし、自分のおかした失敗を世界から無くしたい。そんな風に思っています。

 

インヴィニオクロスとKAKEAIは、それぞれ会社として提供しているサービスも強みもまったく異なる2社です。しかし、それぞれの問題意識の根っこにあるのは、これだけ世の中の変化が激しく、またマネジメントの重要性&難易度が高まる中、現場で孤軍奮闘するマネージャ―の皆さんを救いたい。そして、その先にいるチームメンバーの皆さんが、より自分らしく活躍できる状態を実現したい。そんな想いで事業を展開しています。コーチングという手法と、HR technologyの力がかけ合わさった時、どんな化学反応が起こるのか。ご期待ください。

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