【セミナー公開】前編:カルビー流郷氏に聞く 「全員活躍」に向け「1on1」に取組む理由&孤軍奮闘する管理職260名への支援策とは?

 

今日はカルビーの人材開発部長の流郷さんにご参加頂きまして、
今年度、一緒に取り組ませて頂きました管理職260名の皆さんとの1on1の
トレーニングの内容を中心にご紹介します。

 

 

今回は、『対話型研修支援』を今年度7月〜10月にご支援したカルビー様への1on1の大規模な取り組みについて、ご紹介いたします。

 

【セミナー公開】前編
カルビー流郷氏に聞く 「全員活躍」に向けた
「1on1」導入のスタート時の悩み

 

INVINIO X
畑俊彰

では流郷さん、
よろしくお願いいたします。

対談形式でゆるゆると
進めていけたらと思います。
よろしくお願いします。

カルビーさんはいつ頃から、
どういうことを目的とされて1on1の
導入をスタート
されたのでしょうか?

また、
ご支援に入る前に、

・どんなことが現場で起きていたのか?
・上手く行っていた部分
・上手く行っていなかった部分

などの背景をみなさんに
ご共有頂けますか?

カルビー
流郷さん

なぜカルビーが、
1on1を導入したのか?
という背景としては、
私達、人事の全体ビションとして、
『全員活躍』を掲げています。

そのために、マネジャーと
メンバーとのコミュニケーションが
欠かせないだろうということが
まず、ありました。

一方で、
エンゲージメント・サーベイ(社内調査)
の結果を見ると、
エンゲージメントの評価が
低かった
のです。

カルビー
流郷さん

そこで、
2019年から
1on1というものに
全社的に取り組む
ことになりました。

全役職者(管理職)向けに、
研修を実施しました。

どちらかというと
これは基礎の基礎として
話を聴く「傾聴」などの
研修からスタートしました。

2020年には、
「傾聴」に加え
「共感型コミュニケーション」
「コーチング」
も研修として実施しました。

加えて、
1on1をマネジャー同士が
お互いに練習をしあう「こそ練」
という独自の取り組みも
行いました。

カルビー
流郷さん

2021年は、
『1on1のトレーニングを
やってください』

という話を、上司からは
頂いていました。

とは言え、
今までどおりの研修を
やるということについて
迷い
がありました。

1on1の練習(こそ連)も
行ってはいたものの、
最後の最後には、
3人のマネジャーしか
集まらないという状況だったのです。

カルビー
流郷さん

だから
なんでこういう状況が
起こっているのだろう?
ということに対して、
アンケートを取った結果を
見返したり、ヒアリングなどを
通して、
「どんな場を設定してあげたら良いのかな?」
ということが私の一つの悩み
でもありました。

ヒアリングの中で、
「1on1はすごく良いものだ」
と言ってくれている管理職と、
前向きじゃない管理職とで、
2極化しているという状況が
あったのです。

私は、その人に対して、
この場を通して、
『どういうメッセージを
していけばよいのか?』

ということを当時は、考えました。

INVINIO X
畑俊彰

はいはい。

カルビー
流郷さん

その際の取り組みについて、
今日、みなさんにシェアしたいと
思います。

やはり、その頃、
1on1に対して
ネガティブな人もいたんです。

ただ、
さきほどの
エンゲージメントサーベイの
結果を見ると、
2019年の頃より、
確実に良い結果になりつつある
ということは把握していました。

だから、
1on1を実施している
マネジャー職に対して、
『自信を持っていいんだよ』
いうことを私は、
伝えたかったんです。

 

カルビー
流郷さん

マネジャー職の中から
「コミュニケーションが
出来ているから、もう
1on1なんかいらないじゃん!」
みたいな声も、
あったことも事実です。

「取り立てて
どうしても1on1を
する必要があるの?」
という声や、
「もうコミュニケーションなら
出来ているから、
1on1は、もういいよ」
という声までありました。

特に、
現在、2000人以上の
社員のうちの、
約半分が生産の現場に携わっている中で、
やはり生産側(工場勤務)では、
「必要がない」という
声が多かった
んです。

カルビー
流郷さん

ただ一方で、
出来ていると言っている
部下側の声として、
「1on1はやってくれているけれど、
業務の進捗管理
のようなコミュニケーションが多い」
という声もあったんです。

本来は、
「自分のキャリアの整理」
のような日常業務以外の
対話などを想定していたのですが、
マネジャーとメンバーとの
ギャップ
みたいなものが
起きていました。

カルビー
流郷さん

一方で、
2年間1on1を
やってきているわけだから、
好事例のような実践例も
共有してほしい
という声も
管理職から上がっていました。

あとは、
切実な声として
忙しい現場から、
1on1をやっている
時間自体がない、というような
声もありました。

「やりたいんだけれど、出来ない」
「人事が1on1に取り組んでほしいことは
分かるが、現場はそうはいかない」
というような悲痛とも言えるような
声も、多く寄せられていたということが
当時の実態
だったんです。

INVINIO X
畑俊彰

すごく、リアルですね!
必ずしも皆が皆、
1on1自体に対して
反対という感じでも
なかったということでしょうか?

カルビー
流郷さん

そうです。
賛成派と、ネガティブに
捉える方と、
両方の意見がありました。

INVINIO X
畑俊彰

ありがとうございます。

とは言え、
マネジャーさん側は、
普段からコミュニケーションを取れているから、
なんで1on1の時間を
わざわざ取らなければいけないの?
というような声もあったということですね。

カルビー
流郷さん

そうですね。うんうん。

 

実践的な1on1の取組みの際の『迷いと工夫』

 

INVINIO X
畑俊彰

ありがとうございます。

そんな中で、
今回、1on1の実態を肌で感じながら、
「これからどういうことを
やっていこうか?」と考えたときに、
これまで2年間の研修で
インプットのトレーニングを行ってきた中で、
3年目、どんな支援をしたいか?など
今年の取り組みのスタート時に大事にしたいと
考えていたこと
はありますか?

カルビー
流郷さん

2年間やってきているのだから、
ここには、多くの実践知があるはずだ
というふうに私は、思っていました。

だから、
これまで通りの
型を学ぶということや、
スキルを学ぶみたいなことを
繰り返しても、
たぶん変わらないのでは?
と思ったんです。

たとえば、
1on1の型や、
1on1の手引きのようなノウハウとして、
『会議室で30分〜60分、毎月1回やる』
という教科書的な
方法論のことは聞いていました。

『去年、先生から
教わったとおりに1on1をやっているのに、
どうも上手くいかないんです。』
というような声もあって、
私たち人事が渡した型や、ノウハウが
逆に管理職の人を、
縛ってしまっている

ということも感じたんです。

カルビー
流郷さん

そのやり方が、
型になっちゃうと、
たとえば、さきほどの
生産の現場は、
マネージメントの範囲が広くて、
部下が何十人もいるという場合、
それは出来ないことが多いんです。

なので、
出来ないことに着目するのではなく、
「これだったら、できる!」
と思えることから取り組んでもらえるように
転換できたら
と思ったんです。

カルビー
流郷さん

1on1の型を教えるより、
これまでのみんなの実践知を
共有し合いながら、
対話を通して、みんなで学び合うというか、
その中で、自分の在り方&やり方を
探っていくというような
場にしたいなというふうに
思いました。

一つのやり方が正解じゃなくて、
「その組織だとか、メンバーに合わせて、
やり方を変えていいんだよ」
ということと、
そのやり方自体は、すでに現場にあるから、
それをヒントにして、
『自分のアレンジ』をしていきたい。

1on1の取り組みに対して、
必須だとか任意だとかを
ルール決めすることには
あまり意味がない
と思っていて、
それを言った途端に、
当事者意識がなくなってしまうと思うんです。

なので、
そんなメッセージも
私は伝えたいと思っています。

それは大事にしたいなと
思ってやってきたつもりです。

カルビー
流郷さん

1年目、2年目の頃は、
スタートなので、
1on1というものについての、
「共感」「傾聴」などの
テクニック的なことも
教えてこられた中で、
ともすると、
『1on1は、こうあらねばならない』
というような、
ものが生まれつつあった
ということのように思います。

ただでさえ
1on1に限らず、
なにか正解を探したい、
という気持ちや
正解を求めるという気持ちや
傾向があると感じていました。

でも
正解があったら、
悩まないじゃないですか。

INVINIO X
畑俊彰

うんうんうん。

カルビー
流郷さん

みんな、なぜ悩むか?
と言ったら、
正解がないからですよね。

人事にとっても
1on1の (完全な) 浸透策って
正解が無い
わけで、
正解がないことにも
気づいてほしいな、
って思ったんです。

INVINIO X
畑俊彰

そういう意味では、
フェーズが変わるというか、
それまでの2年間と比べて、
それ以降、1on1の型を
やぶっていこうというような
変化があったということですね。

今年度、どんなプログラムを描いて、
実行されたのか?などの
全体像
みたいなところを
可能な範囲で共有頂いても
いいですか?

カルビー
流郷さん

わかりました。

まず、去年の7月に
合同トレーニングということで、
本部長から課長まで集めて、
6回以上行って、
「答えはない」ということに対しての
マインドセットを行いました。

その後、レイヤーに分かれて
セッションを実施しました。

カルビー
流郷さん

1on1は、
1回実施したからといって、
身につくものだとは
思っていなくて、
実践を通してやっていくことが
すごく大事
だと思います。

なので、
3ヶ月、毎月、
部長同士、課長同士が
集まる場を設けて、
職場で実践して、
またそれのフィードバックをして、
また実践して、という
繰り返しをやってきた
という形です。

INVINIO X
畑俊彰

なるほど!

部長層と課長層と分けて、
テーマを設けて、
実践を中心としたトレーニング
切り替えていったということですね。

カルビー
流郷さん

そうですね。

 

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